概要
情報技術の基礎として理解しておきたいプログラム構造・言語のうち、構造化プログラミング、言語の変遷、言語分類、マークアップ言語などを整理する。
プログラム言語は、処理手順を記述するだけでなく、データ構造、抽象化、実行環境、文書構造の表現にも関係する。
言語ごとの特徴を、用途と実行方式の違いから押さえると整理しやすい。
この記事の構成
- プログラム構造の種類
プログラム構造の種類と各項目の特徴を整理。 - プログラム言語の変遷
プログラム言語の変遷の意味と要点を具体例から整理。 - プログラム言語の種類
プログラム言語の種類と各項目の特徴を整理。 - その他言語
プログラム言語以外にも、実行環境、通信手法、文書やデータの記述形式など、さまざまな仕様を用いる。
プログラム構造の種類
プログラムモジュールの性質は、次のような観点で整理できる。
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再使用可能(リユーザブル)プログラム
一度実行した後も、必要な初期状態を整えることで、主記憶に置いた同じプログラムを再度正しく実行できるもの。
このうち、同時には一つのタスクだけが実行し、終了後に次のタスクが利用できるものを逐次再使用可能プログラムという。 -
再入可能(リエントラント)プログラム
実行コードを共有したまま、複数のタスクから同時に呼び出しても正しく動作するプログラム。
タスクごとに変わるデータを分離し、共有データを変更する場合は競合しないように設計する必要がある。 -
再帰(リカーシブ)プログラム
実行中に自分自身を呼び出すプログラム。呼出しごとの引数や局所変数などを区別して保持。
再帰は自分自身を呼び出す処理構造、再入可能は複数の実行が重なっても安全という性質であり、同じ意味ではない。 -
再配置可能(リロケータブル)プログラム
主記憶上の特定の番地に固定せず、異なる開始アドレスへロードして実行できるプログラム。
相対アドレスを使う方法のほか、ロード時にローダが再配置情報を基にアドレスを調整する方法もある。
プログラム言語の変遷
コンピュータのインターフェースは機械語(マシン語)と呼ばれ、プロセッサが実行可能な命令データで \(0\) と \(1\) の2進数で表現されるバイナリデータのことを指す。
この機械語と人間との橋渡しとして、アセンブリ言語や高水準言語が利用されてきた。
ただし、構造化やオブジェクト指向は言語を分類する観点の一つであり、古い分類を新しい分類が順番に置き換えたわけではない。複数の特徴を持つ言語も多い。
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アセンブリ言語
機械語の命令を、人間が読みやすいニーモニックや記号で記述する低水準言語。多くの命令は機械語と密接に対応するが、疑似命令やマクロなど、必ずしも \(1\) 対 \(1\) にならない記述もある。加算演算が
ADD、移動をMOVなどで表現し \(2\) 進数より理解しやすい特徴がある。一方、命令セットやレジスタを意識して記述する必要があり、同じ処理でも命令数は対象のプロセッサや記述方法によって変わる。
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高級言語(高水準言語)
機械語より人間が処理内容を記述・理解しやすいよう抽象化された言語。例えば、\(A\) と \(B\) の和を \(C\) に代入する処理を「\(C = A + B\)」のように記述できる。代表例:
COBOL、FORTRANなど。 -
構造化プログラミング
処理を基本3構造(順次、選択、繰返し)などの明確な制御構造で組み立て、無秩序なGOTOによる分岐を避ける設計手法。特定の「構造化言語」だけに限定される考え方ではない。代表例:
C言語、Pascalなど。 -
オブジェクト指向言語
データ(状態)と、それを扱う処理(振る舞い)をオブジェクトとしてまとめて設計する考え方を支援する言語。
抽象化、カプセル化、継承、ポリモーフィズムなどが代表的な概念となる。オーバーロードやガベージコレクションは言語によって有無が異なり、オブジェクト指向そのものの必須条件ではない。代表例:
Smalltalk、C++、C#、Java、オブジェクト指向COBOLなど。
プログラム言語の種類
プログラム言語は、処理をどのように表現するかという観点でも分類できる。複数のパラダイムを取り入れた言語もあるため、分類は排他的ではない。
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手続型言語
手続きや関数を単位として、状態を変化させる処理手順を記述する言語。代表例:
COBOL、FORTRAN、Cなど。C++、C#、Javaなどは、手続き型とオブジェクト指向の両方の特徴を持つ。 -
関数型言語
関数の適用を中心に処理を表し、データの不変性や高階関数を重視する言語。再帰がよく使われるが、再帰だけで定義される分類ではない。代表例:
Lispなど。 -
論理型言語
述語論理を基礎として、事実や規則と問い合わせを記述する言語。代表例:人工知能の研究開発で用いられる
Prologなど。 -
スクリプト言語
自動化やアプリケーションの制御、Web開発などで使われることの多い言語の総称。インタプリタで実行されることが多いが、実装によっては事前コンパイルやJITコンパイルも行われる。代表例:
JavaScript、Perl、Ruby、PHP、Pythonなど。JSP(JavaServer Pages)はJavaコードなどを埋め込めるサーバーサイドのページ技術であり、独立したプログラム言語ではない。スクリプト言語とインタプリタ方式は分類の観点が異なるため、同じ意味ではない。
その他言語
プログラム言語以外にも、実行環境、通信手法、文書やデータの記述形式など、さまざまな仕様を用いる。
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共通言語基盤(CLI)
CLI(Common Language Infrastructure)は、実行可能コード、型、メタデータ、仮想実行システムなどを定めたECMA-335の標準仕様。.NETはCLIを基盤とする実装・技術群の一つとなる。複数の言語を共通の実行基盤で扱えるが、別のプラットフォームでそのまま動くかどうかは、CLIの実装や利用するライブラリなどにも左右される。
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Ajax(Asynchronous JavaScript + XML)
Webブラウザ上での非同期通信により、通信結果(レスポンス)をページ全体でなく部分的に書換える手法のこと。単一の部品や規格ではなく、
JavaScriptとWeb APIを組み合わせる開発手法であり、交換データにはXMLだけでなくJSONなども使える。 -
データ定義言語(DDL:Data Definition Language)
データベースの表や索引などの構造を定義・変更するSQLの命令群で、CREATE、ALTER、DROPなどが代表例となる。
XMLのDTD(Document Type Definition)はXML文書の構造を宣言する仕組みであり、SQLのDDLとは別のものとなる。 -
マークアップ言語:HTML(HyperText Markup Language)
Webページ作成(文書を保管・閲覧する)のために開発された言語でテキスト、音声、画像、動画、データファイルなどの表示やリンクを埋込むことができる。現在のHTMLはWHATWGのHTML Living Standardとして継続的に更新されている。WebSocketはブラウザから利用できる別のWeb API・通信プロトコルであり、HTML要素そのものではない。
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マークアップ言語:XML(Extensible Markup Language)
マークアップ言語SGMLを基に、構造化された文書やデータを表現するために作られた言語で、文法には厳密なルールがある。文書構造の規則が必要な場合は、DTD(Document Type Definition)やXML Schemaなどで定義できる。
XML文書はすべて整形式である必要があり、さらにDTDなどで宣言した規則にも適合する文書を妥当なXML文書という。
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整形式XML文書(well-formed XML Document)
XMLの基本的な構文規則に従った文書。DTDなどの宣言は必須ではない。 -
妥当なXML文書(valid XML Document)
整形式であり、文書内で参照するDTDなどの構造規則にも適合した文書。
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マークアップ言語:XHTML(Extensible HyperText Markup Language)
HTMLをXMLの文法に従って定義したもので、要素を正しく入れ子にする、終了タグを省略しないなど、XMLの構文規則に従う。 -
スタイルシート言語:CSS(Cascading Style Sheets)
文章やタグなどの要素をどう見せるかそのスタイルを定義するために作られた言語でHTMLやXHTMLで使用される。Webページでは、文書の構造をHTML、見た目や配置などの体裁をCSSで記述し、役割を分けて管理できる。
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JSON(JavaScript Object Notation)
JavaScriptのオブジェクト記法を用いた軽量のデータ交換フォーマットのこと。 -
YAML(YAML Ain't Markup Language)
配列やマッピングなどの構造化データを、人が読み書きしやすいテキストで表現するデータシリアライズ形式。名前の由来は「YAMLはマークアップ言語でない」であり、マークアップ言語には分類されない。用途が重なる形式としてJSONがある。
まとめ
- プログラムの基本構造は、順次、選択、繰返しとして整理できる。
- HTMLは文書構造を表すマークアップ言語であり、XMLやJSONも処理手順ではなくデータを表現するために使われるが、記法と用途が異なる。
- スクリプト言語は軽量な記述や自動化に使われることが多いが、実装によって事前コンパイルやJITコンパイルを行う場合もある。
- 手続き型は処理手順を中心にし、オブジェクト指向はデータと操作をまとめて設計。
- 再使用可能、再入可能、再帰、再配置可能は、それぞれ再利用、同時実行、自己呼出し、配置場所の変更に関する異なる性質を表す。
参考文献
- 瀬戸 美月(\(2020\))『徹底攻略 応用情報技術者教科書』株式会社インプレス
- MDN - HTML:ハイパーテキストマークアップ言語(日本語・HTMLの解説)
- Ecma International - ECMA-335 Common Language Infrastructure(英語・CLIの規格原文)
- W3C - Extensible Markup Language(XML)1.0(英語・XMLの仕様原文)
- RFC Editor - RFC 8259:The JavaScript Object Notation Data Interchange Format(英語・JSONの仕様原文)