SIGMA-SE Math & Tech Library

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応用情報技術 - 基礎:19/21 データベース操作(関係演算・SQL・権限管理)

概要

情報技術の基礎として理解しておきたいデータベース操作について、集合演算、関係演算、SQL-DDL、SQL-DML、SQL-DCL、その他のSQL構文を整理する。

データベース操作では、表から必要な行や列を取り出し、結合し、更新し、権限を制御する。
SQLの構文だけでなく、裏側にある集合演算と関係演算を理解すると、問題文を読みやすくなる。

この記事の構成

集合/関係演算

データベースは、次の集合演算と関係演算でデータ集合を表現する。

  • 集合演算(和、差、積、直積)
    については、応用情報技術 - 離散数学 > 集合 の集合演算と同じ。
    直積は、\(2\) つのテーブル\(A\)、\(B\)の全組合わせを表す。

    • 例:テーブル\(A\)とテーブル\(B\)の直積\(A \times B\)
      • テーブル\(A\)
        \(X\) \(Y\)
        \(1\)a
        \(2\)b
        \(3\)c
      • テーブル\(B\)
        \(X\) \(Z\)
        \(1\)\(d\)
        \(2\)\(e\)
        \(3\)\(f\)
      • 直積\(A × B\)
        \(A\).\(X\) \(A\).\(Y\) \(B\).\(X\) \(B\).\(Z\)
        \(1\)\(a\)\(1\)\(d\)
        \(1\)\(a\)\(2\)\(e\)
        \(1\)\(a\)\(3\)\(f\)
        \(2\)\(b\)\(1\)\(d\)
        \(2\)\(b\)\(2\)\(e\)
        \(2\)\(b\)\(3\)\(f\)
        \(3\)\(c\)\(1\)\(d\)
        \(3\)\(c\)\(2\)\(e\)
        \(3\)\(c\)\(3\)\(f\)
  • 関係演算(選択、射影、結合、商)
    選択は、レコードを抽出する操作(演算)。
    射影は、フィールドを抽出する操作(演算)。
    結合は、複数の関係を条件に基づいて組み合わせる操作(演算)。条件に一致する組だけを返す内部結合、指定した側の一致しない組も残す外部結合などがある。自然結合は、同じ名前の属性を等しい条件で結び、重複する属性を一つにする内部結合の一種となる。
    は、演算をテーブル\(A \div B\)とした場合、\(A\)の属性のうち\(B\)に含まれない属性について、\(B\)のすべての組と対応する値を求める操作(演算)。

SQL

SQL(Structured Query Language)は、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)において、データの操作や定義を行うためのデータベース言語となる。DDL、DML、DCLに加えてトランザクション制御をTCLとして分けるなど、分類方法は教材やDBMSによって異なる。本記事では、次の分類で整理する。

また、SQLは国際標準化され、多様なリレーショナルデータベースで利用できる。ただし、利用できる構文や機能にはDBMSごとの差がある。代表例として、下記のデータベースがある。

  • Oracle Database:Oracle社が提供するRDBMS。
  • PostgreSQL:オープンソースのRDBMS。
  • MySQL:GPLのCommunity Editionと商用版が提供されるRDBMS。
  • SQLite:アプリケーションへ組み込んで利用できるRDBMS。
  • Microsoft SQL Server:Microsoft社が複数のエディションで提供するRDBMS。
  • Microsoft Access:Microsoft 365などで提供されるデスクトップ向けデータベース管理システム。

データ定義言語:SQL-DDL(Data Definition Language)

テーブル、ビュー、インデックスなどを定義する命令言語で、以下の命令文を用いたSQLを指す。

  • CREATE文
    データ定義の作成を実行する命令文。
    テーブル定義を新規作成するCREATE TABLEなど。

    以下、CREATE TABLEに指定できる主な制約。

    構文 意味
    PRIMARY KEY 主キー制約
    NOT NULL 非ナル制約(NOT NULL制約)
    REFERENCES 参照制約(外部キー制約)
    UNIQUE 一意性制約
  • ALTER文
    データ定義の変更を実行する命令文。
    テーブル定義を変更するALTER TABLEなど。

  • DROP文
    データ定義の削除を実行する命令文。
    テーブル定義を削除するDROP TABLEなど。

  • TRUNCATE文
    データの全削除を実行する命令文。
    テーブルデータを全削除するTRUNCATE TABLEなど。

データ操作言語:SQL-DML(Data Manipulation Language)

既存のテーブルやビューに対して、データを操作する命令言語で、以下の命令文を用いたSQLを指す。

  • SELECT文(検索)
    レコードの検索(抽出)を実行する命令文。
    以下、SELECT文に指定できる抽出オプション。

    構文 意味
    FROM 対象テーブルの指定
    INNER JOIN 結合条件に一致する行を内部結合
    LEFT / RIGHT / FULL OUTER JOIN 指定した側の不一致行も残して外部結合
    WHERE 検索条件の指定
    GROUP BY グループ化(特定条件で集計)の指定
    HAVING グループ化後の検索条件の指定
    ORDER BY 並び順の指定
    DISTINCT 抽出結果から重複除く指定

    LEFT OUTER JOINは左側の表、RIGHT OUTER JOINは右側の表、FULL OUTER JOINは両側の表の不一致行も残す。

  • INSERT文(新規登録)
    レコードの挿入(新規登録) を実行する命令文。
    INSERT INTOの後に対象テーブル名フィールド名を指定し、末尾に設定値を指定。
    設定値に関しては、値を直接指定するVALUESと抽出結果を設定するSELECTがある。

  • UPDATE文(更新)
    レコードの更新を実行する命令文。
    UPDATEの後に対象テーブル名を指定し、SETに更新するフィールド名設定値を指定。
    末尾にWHEREで更新対象の条件を記述し、対象範囲を指定。

  • DELETE文(削除)
    レコードの削除を実行する命令文。
    DELETE FROMの後に対象テーブル名を指定し、末尾にWHEREで削除対象の条件を記述し、対象範囲を指定。

  • 副問合せ(サブクエリ)
    SQLステートメント内部に入れ子で入っているSQL文を指す。
    SELECT文だけでなく、INSERT、UPDATE、DELETEなどでも利用できる。
    また、内側の副問合せが外側の問合せの列を参照し、外側の行ごとに関連付けて評価されるものを相関副問合せという。

データ制御言語:SQL-DCL(Data Control Language)

アクセス権を制御する命令言語で、代表的な命令文としてGRANT文とREVOKE文がある。

  • GRANT文
    アクセス権限の付与を実行する命令文。
    データベース利用者に対して、テーブルやオブジェクトなどの操作権限を付与する。

  • REVOKE文
    アクセス権限の取消を実行する命令文。
    GRANT文で付与した権限を取消す。

トランザクション制御言語:SQL-TCL(Transaction Control Language)

トランザクションを制御する命令をTCLとして分ける場合、代表的な命令文としてCOMMIT文とROLLBACK文がある。教材によっては、これらをDCLに含めて説明する場合もある。

  • COMMIT文
    トランザクション内の変更を確定する命令文。
  • ROLLBACK文
    トランザクション内の未確定の変更を取り消し、トランザクション開始時または指定したセーブポイントの状態へ戻す命令文。

関連するSQL構文

以下、上記の言語カテゴリと併せて覚えておきたい代表的なSQL構文。

  • 集計関数
    行の集合に対して、合計、平均、最大、最小、件数などを求める関数。GROUP BYを指定した場合はグループごとに、指定しない場合は対象全体に対して集計する。

    構文 意味
    SUM 合計
    AVG 平均
    MAX 最大
    MIN 最小
    COUNT COUNT(*)は行数、COUNT(式)はNULLでない値の数
  • 比較演算子
    条件に指定する比較演算子で、以下の種類がある。

    演算子 意味
    < 小なり
    > 大なり
    <= 小なりイコール
    >= 大なりイコール
    <> ノットイコール
    IN(値\(1\), 値\(2\), 値\(3\) …) \(1\) or \(2\) or \(3\) …(複数 or 条件)
    BETWEEN \(1\) AND \(2\) 値1~値2の範囲(両端を含む)
    LIKE %や_を使ったパターン一致
    EXISTS レコードの存在有無
  • 集合演算
    SELECT結果の和集合演算となるUNIONがある。

    構文 意味
    UNION 双方のSELECT結果から同一レコードを集約して統合。
    UNION ALL 双方のSELECT結果から同一レコードを集約せず統合。
  • カーソル
    SELECT結果に対して、\(1\) レコードずつ順に読み出す仕組み。
    SQLの実装例では、DECLARE カーソル名 CURSOR FOR SELECT ...のように問合せをカーソルとして定義。
    OPENでカーソルを開き、FETCHで \(1\) レコードずつ読み込み、CLOSEでカーソルを閉じる。

  • ビュー(VIEW)

    • 複数テーブルの特定項目を参照用として1テーブルで表現したもので、導出表とも呼ばれる。
    • ビューを更新できる条件はDBMSによって異なる。一般に、複数テーブルの結合、集計関数、DISTINCT、GROUP BY、集合演算などを含むビューは、そのままでは更新できない場合が多い。
  • ストアドプロシージャ

    • データベース操作を一連の処理にまとめ、DBMS(データベース管理システム)に登録したものを指し、プロシージャ名で呼び出して使用。

まとめ

  • 関係演算の選択は行を絞り、射影は列を絞る。結合は複数の表を関連付ける。
  • WHEREは集計前、HAVINGは集計後に条件を適用。INNER JOINは一致する行、OUTER JOINは一致しない行も含めて取得。
  • 副問い合わせは、ある問い合わせの結果を別の問い合わせの条件や値として利用。
  • DDLはデータベース構造、DMLはデータ、DCLは権限を操作。
  • GRANTは権限を与え、REVOKEは権限を取り消す。

参考文献

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