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Python - ニューラルネットワーク:11/14 偏微分と勾配ベクトルの実装

概要

複数の変数を持つ関数に対して、偏微分と勾配をPythonで計算する方法を整理する。

ニューラルネットワークの重みは多数あるため、1つの変数だけでなく、複数の方向に対する損失の変化を考える必要がある。

ここでは、偏微分を数値的に計算し、それらをまとめた勾配ベクトルとして扱う流れを確認する。

この記事の構成

概念の説明と実装サンプル

偏微分のおさらい

  • 偏微分の定義

    大まかに言うと偏微分は、微分対象(変数)が複数になる場合の微分のことだが、数式で表現すると少し長くなるため、微分対象が2つ(\(x_{0} と x_{1}\))で、\(x_{0}\) で偏微分する場合を例にした以下の定義にとどめる。

    \[ \frac{\partial f}{\partial x_{0}}(x_{0}, x_{1}) \]
    \[ = \lim_{\Delta x_{0} \to 0} \frac{ f(x_{0}+\Delta x_{0}, x_{1}) - f(x_{0}, x_{1}) }{\Delta x_{0}} \]

偏微分のPython実装サンプル

  • 変数ごとの偏微分

    以下、\(f(x_{0}, x_{1}) = x^2_{0} + x^2_{1}\) を例に偏微分のPython実装サンプルを解説する。

    • 最初に、グラフ \(f(x_{0}, x_{1}) = x^2_{0} + x^2_{1}\)

      $ python
          >>> from mpl_toolkits.mplot3d import Axes3D
          >>> import matplotlib.pyplot as plt
          >>> import numpy as np
          >>>
          >>> def func_ex(x0, x1):
          ...     return x0**2 + x1**2
          ...
          >>> x0 = np.arange(-3.0, 3.0, 0.1)
          >>> x1 = np.arange(-3.0, 3.0, 0.1)
          >>> X0, X1 = np.meshgrid(x0, x1)
          >>> Z = func_ex(X0, X1)
          >>> fig = plt.figure()
          >>> ax = Axes3D(fig)
          >>> ax.set_xlabel("x0")
          Text(0.5, 0, 'x0')
          >>> ax.set_ylabel("x1")
          Text(0.5, 0, 'x1')
          >>> ax.set_zlabel("f(x0, x1)")
          Text(0.5, 0, 'f(x0, x1)')
          >>> ax.set_title("f(x0, x1) = x0^2+x1^2 # arange:-3.0, 3.0, 0.1, label:f(x0, x1), x0, x1")
          Text(0.5, 0.92, 'f(x0, x1) = x0^2+x1^2 # arange:-3.0, 3.0, 0.1, label:f(x0, x_{1}), x0, x_{1}')
          >>> ax.plot_wireframe(X0, X1, Z)
          [<mpl_toolkits.mplot3d.art3d.Line3DCollection object at 0x7f6ae0cec6d8>]
          >>> plt.savefig('pid25_1.png')
          >>>
      

      pid25_1

    • 次に偏微分のPython実装サンプル
      まず、どの変数に対して偏微分するか前提が必要となる。

      例えば、関数 \(f(x_{0}, x_{1}) = x^2_{0} + x^2_{1}\) で \(x_{0} = 5\)、\(x_{1} = 10\) とした時

      \(x_{0}\) に対する偏微分を求めるには、もう一方の変数 \(x_{1}\) を10に固定し、\(x_{0}\)だけを変数として扱う。


      \(x_{1}=10\)を代入すると

      \[ f(x_{0},10) = x^2_{0} + 10^2 = x^2_{0} + 100\hspace{5mm}・・・(A) \]
      と表せる。

      この一変数関数を\(x_{0}\)で微分すると

      \[ \frac{d}{dx_{0}}(x^2_{0}+100)=2x_{0}\hspace{5mm}・・・(B) \]

      下記サンプルでは\((A)\)の一変数関数を func_partial_difとし、\(x_{0} = 5.0\) で数値微分する。結果は\((B)\)の\(2x_{0}=10\)とほぼ一致する。

      $ python
          >>> def num_dif(f, x):    # 下記(* num_dif)参照
          ...     h = 1e-4
          ...     return (f(x+h) - f(x-h)) / (2 * h)
          ...
          >>> def func_partial_dif(x0):
          ...     return x0*x0 + 10.0**2
          ...
          >>> num_dif(func_partial_dif, 5.0)
          9.999999999976694
          >>>
      

      ※ num_dif(数値微分)については、 Python - ニューラルネットワーク: 損失関数と数値微分(勾配)の実装サンプル > 数値微分の関数定義(Python実装サンプル) を参考のこと。

    • 次項の解説ため \(x_{1}\) に対する偏微分の方も求めておく
      同様に、\(x_{0}=5\)を固定すると

      \[ f(5,x_{1}) = 5^2 + x^2_{1} = 25 + x^2_{1}\hspace{5mm}・・・(C) \]

      と表せる。この一変数関数を\(x_{1}\)で微分すると

      \[ \frac{d}{dx_{1}}(25+x^2_{1})=2x_{1}\hspace{5mm}・・・(D) \]

      下記サンプルでは\((C)\)の一変数関数を\(x_{1}=10\)で数値微分し、\((D)\)の\(2x_{1}=20\)と比較する。

      $ python
          >>> def num_dif(f, x):
          ...     h = 1e-4
          ...     return (f(x+h) - f(x-h)) / (2 * h)
          ...
          >>> def func_partial_dif(x1):
          ...     return 5.0**2 + x1*x1
          ...
          >>> num_dif(func_partial_dif, 10.0)
          19.99999999995339
          >>>
      

      ※ 結局、偏微分と言っても、微分対象となる変数以外をすべて固定値と捉えて微分しているに過ぎない。

勾配のPython実装サンプル

  • 勾配ベクトルの計算

    上記で、\(x_{0}\)、\(x_{1}\) それぞれの偏微分について実装サンプルを解説したが、次は、同時に偏微分する場合を考える。

    \(x_{0}\)、\(x_{1}\) 両方の偏微分 \(\displaystyle \left(\frac{\partial f}{\partial x_{0}}, \frac{\partial f}{\partial x_{1}} \right)\) をベクトルとしてまとめたもの勾配という。

    • 勾配の実装サンプル
      ※ 微分、偏微分の概念や説明については、既に説明済なので割愛。

      $ python
          >>> import numpy as np
          >>>
          >>> def func_ex(x):    # このサンプルで使用している関数の定義
          ...     return x[0]**2 + x[1]**2
          ...
          >>> def num_gradient(f,x):    # 勾配関数
          ...     h = 1e-4
          ...     grad = np.zeros_like(x)    # xと同じ形状の配列で値がすべて 0
          ...
          ...     for idx in range(x.size):    # x の次元分ループする。 (下記例は、5.0, 10.0 の 2 周ループ)
          ...         idx_val = x[idx]
          ...         x[idx] = idx_val + h
          ...         fxh1 = f(x)    # f(x + h)の算出
          ...
          ...         x[idx] = idx_val - h
          ...         fxh2 = f(x)    # f(x - h)の算出
          ...
          ...         grad[idx] = (fxh1 - fxh2) / (2 * h)
          ...         x[idx] = idx_val    # 値をループ先頭の状態に戻す。
          ...     return grad
          ...
          >>>
      
    • 勾配関数の実施確認
      この勾配関数で前項の \(x_{0} = 5\)、\(x_{1} = 10\) とした時をはじめ、いくつかの点の勾配を出してみる。

      $ python
          >>> num_gradient(func_ex, np.array([5.0, 10.0]))
          array([10., 20.])
          >>> num_gradient(func_ex, np.array([0.0, 10.0]))
          array([ 0., 20.])
          >>> num_gradient(func_ex, np.array([5.0, 0.0]))
          array([10.,  0.])
          >>> num_gradient(func_ex, np.array([2.0, -4.0]))
          array([4., -8.])
          >>> num_gradient(func_ex, np.array([-3.0, 4.0]))
          array([-6., 8.])
          >>>
      

      上記の数値勾配は、解析的に求めた勾配 \((2x_{0}, 2x_{1})\) とほぼ一致していることが分かる。

      それぞれの勾配を見てみると

      \((5.0,\ 10.0)\) ⇒ \((10.0,\ 20.0)\)
      \((0.0,\ 10.0)\) ⇒ \((0.0,\ 20.0)\)
      \((5.0,\ 0.0)\) ⇒ \((10.0,\ 0.0)\)
      \((2.0,\ -4.0)\) ⇒ \((4.0,\ -8.0)\)
      \((-3.0,\ 4.0)\) ⇒ \((-6.0,\ 8.0)\)

      となる。勾配は関数値が最も増える方向を向くため、この二次関数では原点から外側を向く。最小値を探す勾配降下法では、その反対方向である負の勾配へ更新する。原点から遠いほど勾配ベクトルの長さも大きくなる。

まとめ

  • 偏微分は、複数変数のうち他の変数を固定し、一つの変数だけを変化させて調べる。
  • 勾配は各変数の偏微分をまとめたベクトルで、損失が増える方向を示すため、学習では逆方向へパラメータを更新。
  • 数値微分で配列の値を一時的に書き換える場合は、計算後に元の値へ戻して破壊的変更を残さない。

参考文献

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